年の差を越えて結婚しました。

朝からテレビで、有名な俳優が10歳も若い一般女性と「年の差結婚」をしたと騒いでいる。
関心がないわけではないが、そんな羨ましい結婚ができるのも、金があって顔もいい俳優だからだろう。
自分のひがみ根性に苦笑いしながら、私はテレビを消すと、会社へ出勤するために家を出る。

会社員という身分は安心感があるが、そんな話題を聞いた後は、若い頃にもっと冒険をするべきだっただろうかとも思う。
「えー? 課長って、出会い系とかやらないんですか」
「まあ、話には聞いたことがあるがな。なんだ、お前そんなので遊んでいるのか」

社員食堂で食べながら携帯電話をいじっていた部下を注意すると、なぜかそんな話になった。
「もういい年なんだから、おかしな真似は止めなさい」
「ちょっと、一体いつの時代の人なんですか(笑) 出会い系って、課長ぐらいの人もいっぱい居ますよ!」

食事が終わってからも、出会い系サイトについて熱く語る部下に、いつしか私も引き込まれてしまっていた。
帰ってからも、その話を笑い話として忘れられなかったのは事実だ。
家のパソコンで「出会い系サイト」と検索すると、私は目に付いたサイトに登録していた。

プロフィールだの何だのと面倒だったが、気が付けば希望する女性のタイプ、なんて欄にもしっかりと記入していた。
毎晩、少しだけログインしていたのだが、ある日私はマイさんという女性とメールを交換することになる。
マイさんは私よりもかなり若いので、メールだけでも楽しめればいいだろうと、その時は思っていた。

それからマイさんとのメールは二ヶ月も続き、私たちは海の見えるレストランで食事をする約束を交わした。
15歳も年下とは思えないほど、マイさんとの会話が弾むので驚いた……おそらく彼女が、今時珍しい古風な女性だったからだろう。

これが昨年の話だ。
今では、若さに任せて馬鹿なことをせず、真面目に年を重ねて良かったとすら思う。

部下から話を聞いた時には、こんな展開になるとは予想もしていなかった。
その部下は、私が「出会い系サイト」で女性と知り合い、自分と同じような年齢の妻を迎えると聞いて、目を丸くして驚いていた。
私は現在、妻となったマイと共に、穏やかで幸せな新婚生活を楽しんでいる。

「課長、本当におめでとうございます! なんかくやしいなあ」
「なにを言っているんだ、お前が教えてくれたんだぞ」
心から祝福の笑顔を見せる部下に、私も素直に礼が言えた。

さらに嬉しいことに、結婚した私は昇進の内示を受けたのだ……本当に、人生とは分からないものである。

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2011年9月15日 | コメント/トラックバック(0) |

カテゴリー:体験談

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